冷蔵庫

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名称[編集]

冷蔵庫(れいぞうこ)
古い冷蔵庫(昭和20年代に使われた):上の段に氷を入れて、冷えた空気が下に下がり品物を冷やす
高92×幅64×奥行48cm

概要[編集]

 日本で初めて電気冷蔵庫が発売されたのは、1930年(昭和5年)になる。当時の電気冷蔵庫は、とても値段が高く、家1軒の値段と同じぐらい高かったとも言われている。

 そのころ、庶民は高価な電気冷蔵庫の代わりに、氷を入れて使う冷蔵庫が使われていた。そして、その氷は氷屋さんで買っていた。氷が作れる、冷凍室付きの冷蔵庫が発売されたのは1963年(昭和38年)のことで、昔は氷をお店で買うのが普通であった。

氷室(ひむろ)[編集]

 氷を使う冷蔵庫以前は、氷室が冷蔵庫の代わりに使われていた。  涼しい山の穴倉や、倉庫のような部屋のことで、おがくずやわらで包んだ雪や氷を入れて、夏まで保存していた。氷室の雪や氷は、夏になってから取り出され、水やお酒を冷やすのに使われた。氷を削ってかき氷のようにして、食べることもあった。

 氷室に入れる雪や氷は、冬の間にたくさん集めたり、高い山に夏まで残っている雪や氷を運んできたりしたもので、大変な手間や苦労があった。雪や氷を使った冷たい物は、身分の高い人でないと味わえないぜいたくなもので、一般庶民の人たちが口にすることはできなかった。  氷室は、今から1,500年ぐらい前の奈良時代に、既に使われ、日本書紀にも記載[1]が見られる。また、氷室は宮廷の官僚組織のなかにも組みこまれ、「大宝令」には宮内省の主水司に氷室を管理させることになったともある。

電気冷蔵庫[編集]

 日本における電気冷蔵庫の歴史は意外に古く、昭和初期には、すでに国産第1号が誕生している。しかし、一般の家庭では昭和20年代まで、氷屋さんが作っていた大きな氷を入れて使う冷蔵庫が使用されていた。

昭和 5(1930)年	 冷蔵庫の国産第1号を製造・販売
昭和10(1935)年	 機械部を下部に納めた「フラットトップ型」発売
昭和21(1946)年	 米駐留軍の要請で、メーカー各社が開発製造に着手
昭和25(1950)年	 米軍需要の消失により、国内家庭向けの生産が開始される
昭和27(1952)年	 80,000円前後で、家庭用小型冷蔵庫(90L)を発売
昭和36(1961)年	 冷蔵庫の普及率が10%を超える。フリーザー付き冷凍冷蔵庫発売
昭和37(1962)年	 自動霜取り方式が主流になる
昭和40(1965)年	 冷蔵庫の普及率が50%を超える
昭和41(1966)年	 断熱材がグラスウールからウレタンに代わり、薄壁機種発売
昭和42(1967)年	 庫内温度自動調整方式採用
昭和43(1968)年	 ファン式霜なしタイプ発売
昭和46(1971)年	 冷凍冷蔵庫が主力になる
昭和47(1972)年	 冷水器付き冷蔵庫、肉魚専用室付き冷蔵庫発売
昭和48(1973)年	 野菜保存室が独立した3ドア冷蔵庫発売
昭和50(1975)年	 冷蔵庫の普及率が96%に達する
昭和51(1976)年	 400L以上の大型冷蔵庫の価格を大幅値下げ、大型化を指向するようになる
昭和54(1979)年	 背面露出放熱パイプを内蔵化、省エネ性が進む
昭和55(1980)年	 6ドアタイプ冷蔵庫発売
昭和56(1981)年	 冷凍から冷蔵まで、無段階に温度調節ができ、居間や書斎に手軽に運べるワゴン型冷蔵庫発売
昭和57(1982)年	 冷凍食品の解凍が終わると自動的に0℃を保つ解凍室付き冷蔵庫発売
昭和60(1985)年	 家庭用氷温室専用庫発売
昭和61(1986)年	 新断熱材の採用により、容積効率が大幅アップした従来外形サイズ30OLで内容積35OLを実現
昭和62(1987)年	 レトロモダン冷蔵庫発売、オゾンを発生させ、庫内の臭気を分解させる脱臭装置を採用した脱臭装置内蔵冷蔵庫発売
昭和63(1988)年 給水タンクに水を入れてセットするだけで自動的に氷をアイスボックスにストックできる自動製氷機能付き5ドアタイプを発売

引用元:一般社団法人 家庭電気文化会-家電の昭和史冷蔵庫

関連項目[編集]




注釈[編集]

  1. 『日本書紀』によると、仁徳天皇の六二年五月、額田大中彦皇子が狩りに出かけられた。山中に入って、ふとごらんになると、広い岩穴がみえる。いったい何だろう、というので土地の人に問われると、これは氷室というものであります、という答えがかえってきた。